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契約書リーガルチェック

 契約書のリーガルチェックの重要性は、自分がトラブルに巻き込まれてみて初めて痛感するものです。以下に、契約書の重要性についてご紹介させて頂きます。

契約の重要性

 契約書には、個人であれば売買契約書、賃貸借契約書、ローン契約書等、名称からしても身近なものも含まれていますが、企業間取引になりますと、取引基本契約書、秘密保持契約書、ライセンス契約書、業務委託契約書、販売委託契約書、コンサルティング契約書、共同開発契約書、広告掲載契約書等々。。。。日常的にさまざまな契約書が交わされています。

 しかし、契約書の条項の意味内容を、細かく教わる経験は今までほとんど無かったでしょうし、用語も難しく、理解が困難な場合も多いのが実情です。

 中小企業の経営者、契約担当者の皆様には、取引先から送られてきた契約書を十分にチェックせず、そんなものかと捺印してしまったり、インターネット上に公開されているひな形を意味もよく分からずに流用して契約書を作成したという経験に心当たりがあるのではないでしょうか。

 個人であれば、消費者契約法などで保護されることもありますが、事業者には適用がありません。ある意味、公序良俗に反するような内容でない限り、自己責任です。
 取引が順調で業績もよく、互いの関係が良好なうちは、契約書の内容が問題なることは滅多にありません。
 しかし、予期せぬクレームが生じたり、一方の業績が悪化するなどして取引関係の雲行きが怪しくなってくると、法的なトラブルが生じることがあります。

 契約書は、そのようなトラブルが起きた際又はトラブルを未然に防ぐために大きな意味を持ちます。

予期しないトラブルに巻き込まれないために

 起業したばかりのころは、契約書のことなど気にすることなく、ただ顧客を掴むこと、売り上げを伸ばすことに邁進するのも良いでしょう。

 しかし、ビジネスが軌道に乗り、取引の規模も少しずつ大きくなってきているのであれば、予期せぬトラブルに巻き込まれて、これまでの努力が水泡に帰することのないよう、契約に関する関心・危機意識を持つのが優れた経営者です。

 
今後も事業を維持・発展させるためには、将来会社経営の足を引っ張ることにもなりかねないトラブルの芽は摘んでおくことが大切です。

 
些細な法令違反や契約書の誤った解釈により、顧客や取引先からの信頼が一気に失われてしまったり、訴訟を起こされてしまって痛い目に遭ってからお越しになる経営者を数多く見てきました。

 契約書に目配りをしておくことは、事業活動を行ううえで基本中の基本であるにも関わらず、おろそかになっている経営者が多いのが実情です。逆に言うと、相手の勉強不足に乗じて自社に有利な契約を締結することも可能となります。

 当事務所の顧問会社の皆様を拝見していると、顧問弁護士を持つことを検討するのも、この時期が多いようです。

不利な内容や曖昧な表現に注意

 例えば、貴社(甲)が納品先(A社)と交わした契約書に、「検収の結果、A社が不具合があると判断した製品を返品することができる」「A社が甲に納品した物品に不具合があった場合でも、A社は一定の事由によるものについては債務不履行責任を負わない」「A社と競合するとA社が判断する事業を行った場合、甲社は、違約金として○○万円支払う」といった条項があったとします。

 
これらは、主観的な判断に左右される条項となっており、曖昧でどのようにでも解釈することができ、かつ一方的に甲に不利な条項となっています。

 このような曖昧で自社にとって不利な条項が、時々取引相手から提示される契約書に含まれていることがあるのです。

 契約書を交わしてしまうと、契約変更や容易でないことも多く、リスクを常に抱えたまま取引を継続することになってしまいます。

 
これから締結しようとしている契約書につき、特段不利益な条項は含まれていないのかもしれませんが、弁護士のチェック受けておくメリットは、このようなリスクを未然に防ぎ、契約内容の変更を求めることにより、解釈が分かれるような表現については明確化しておくことで、想定しうるリスクを明確にしておくことにあります。

契約書の価値

 契約は口頭でも成立しますが、口頭のみの契約では必ず「言った言わない」の争いが生じます。

 簡単な例でいうと、支払期日が当月末なのか、翌月末なのか。。

 「当月末に支払いが行われると合意したからこそ値引きした」としても、それが必ず認められるとは限りません。

 契約書の存在は合意内容を確定し、互いに合意の存在を認識することが可能となるのです。

 

 契約書を作成するにあたっては、条項について協議を行うことが通常です。協議の際に認識の違いが浮き彫りになってくることも多々あります。

 認識が一致している点、一致していない点が明確になっていれば、後のトラブルを予防することが可能となります。

契約の成立

 上述のとおり、契約は口頭でも成立します。契約書を作成しなくても、口頭による意思の合致があれば、契約は有効に成立します。

 成立した以上は、やっぱりあの契約は無かったことにして欲しいといっても、相手の同意が無い限り、契約の拘束力は生じたままです。一方的な取消しは出来ません。

 口頭でも契約書による契約でも、何ら効力は変わりません。

 建設業法や下請法の関係で、口頭発注が出来ず、書面の交付義務がある場合がありますが、契約そのものが無効になることはありません。

 但し、例えば売買契約でいうところの代金の額など、契約類型ごとに必ず決めておかなければならない基本的な事柄があり、これに関する合意が無ければ、契約は成立していません。

 実務的には、注文書を出し、これに対して請書を交付するということも多いでしょう。この場合は、注文書・請書だけで契約は成立しています。

注文後、相手の承諾が無い場合

 注文後、相手の態度がはっきりしない場合はどうなるでしょうか。
 企業間の取引では、商法は、概要、以下のとおり規定しています。  

 

  1. 対話者間の申込は、その場で承諾がなければ効力を失う(商法507条)
  2. 隔地者間で承諾期間の定めがない場合は、相当の期間内に承諾通知を発しない時には、注文は効力を失う(同法508条)。
  3. 当事者間に平常取引が存在するような場合で、営業の部類に属する申込を受けた際には遅滞なく回答をしなければならず、これを怠れば承諾したものとみなす(同法509条)。

 特に、3については、「平常取引が存在する場合」「営業の部類に属する」の要件を満たすケースも多く、注意が必要です。
 注文を受けた側は、承諾したものとみなされ、契約が成立していると主張されることを防止するために、明示の拒絶通知を出しておく必要があります。後日立証できるように、書面で行っておくことが重要でしょう。