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医院・クリニックの法律相談

 介護事業者・介護施設の方は、他の業種と比べて、法律問題に直面することが多いのが実情です。
 以下、よくお受けするご相談についてご紹介させて頂きます。

口コミサイトの事実無根の書き込み対応

 クリニック・医院については、数多くの口コミサイトが存在していますが、匿名で事実無根の書き込みをされることがあります。
 これらの口コミを放置しておくと、クリニックの社会的評価が低下し、患者さんは不安になり、経営にも悪影響を及ぼしますので見過ごすことは出来ません。

 悪質な書き込みへの対応としては、大きく2つに分かれます。

 1つ目は、当該書き込みの削除です。事実無根の書き込みはネット上に存在している限り悪影響を及ぼし続けますから、迅速に削除する必要があります。
 2つ目は、当該書き込みをした人物を特定し、損害賠償請求等のしかるべき法的手続を取ることです。削除に成功しても、何度も同様の書き込みをされる可能性がありますので、人物を特定し、二度と行わない旨の誓約をさせることが重要です。
 
 クリニックや診療所の先生方が、お忙しいなか、ご自身で対応することが可能な手続きとしては、ウェブフォーム等からサイトの管理人に対し、直接削除請求をすることが考えられます。
 費用も時間もかかりませんが、必ず管理人が対応してくれるとは限りません。

 ウェブフォームからの削除請求以外の方法は、基本的に法的手続となります。
 特殊な分野となりますので、誹謗中傷対策問題を取り扱っている弁護士に依頼することが必要となります。
 ここでは詳細を省略しますが、弁護士は裁判手続である民事保全法の仮処分(削除の仮処分)を得て、削除を試みます。適切に手続きを行えば、通常は削除が可能となります。

 これと並行して、プロバイダ責任法に基づき、発信者情報開示請求を行って、悪質な書き込みをした発信者を氏名・住所等を特定します。
 そんなことが出来るのかと驚かれる先生も多くいらっしゃいます。
 これも専門的な内容となりますので詳細な方法に関する説明は省略しますが、誹謗中傷対策を取り扱っている弁護士であれば、発信者情報を得るところまで辿り着きます。
 
 事実無根の書き込みをした人物が特定することができると、当該人物に対し、損害賠償請求や刑事告訴を行います。
 目的は、名誉回復と、今後二度と書き込みを行わせないことにありますので、弁護士費用を支払わせたうえで、今後二度と行わないことを約束させ、和解で終了することもあります。

医療広告規制に関する注意点

 医療広告については、平成29年の「医療法等の一部を改正する法律」(医療法改正)により、規制の対象となる広告の範囲が拡大されました。改正前は、医療機関のウェブサイトや院内パンフレット等は規制の対象外でしたが、改正により他の広告と同様に規制の対象となり、虚偽又は誇大等の不適切な表示・表現については、是正命令や罰則等の対象となりました。

 医療機関としては、魅力的な記事や広告を表示し、患者さんに来てもらいたいと考えることはよく理解できるところではありますが、ウェブサイトの作成にあたっては、医療広告規制に注意する必要があります。

 医療機関の広告で認められているのは、病院又は診療所の名称、電話番号及び所在地、診療科名、診療日、診療時間等です。それ以外の事項については原則として広告が出来ません。
 もっとも厚生労働省令で定める場合には、例外的に広告することが可能となります。
 厚生労働省令で定められた限定解除の要件は以下の4要件です。

1.医療に関する適切な選択に資する情報であって患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であること

2.表示される情報の内容について、患者等が用意に照会が出来るよう、問い合わせ先を記載することその他の方法により明示すること

3.自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項について情報を提供すること

4.自由診療に係る治療等に係る主なリスク、副作用に関する事項につきいて情報を提供すること

 医療機関(特に自由診療を行う医療機関)は、ウェブサイトの記載を見直し、違反が無いかのチェックをしておくことが重要です。

 

​ 【禁止される広告の例】

1.虚偽広告
虚偽広告が禁じられるのは当然です。虚偽広告は、患者等に著しく事実に相違する情報を与え、患者等が適切な受診機会を喪失したり、不適切な医療を受けるおそれがあることから、6月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

2.比較優良広告
他の病院、他の診療所と比較して優良であることの広告は禁じられています。

3.誇大広告
虚偽とまではいえないが、事実を不当に誇張したり、患者を誤認させるおそれのあるような広告は禁じられています。

4.患者等の主観に基づく治療等の内容又は効果に関する体験談
体験談は、個々の患者の状態等により主観的な感想は異なりますので、誤認を与える恐れがあり、医療広告としては認められません。

5.治療等の前後の写真
​ 医療広告に関しては、厚生労働省により、2018年5月8日付「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)」及び同年8月10日付「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)に関するQ&Aについて」が公表されており、これらを確認しながら広告を作成するようにしましょう。

 なおQ&Aは、同年10月24日に改訂版が公表されています。